🍒 「8+5」で手が止まる——くり上がりのたし算は、小学1年生の算数で最初の、そして最大の山場です。攻略の鍵は計算練習の前にある「10づくり」。順番どおりに進めれば、必ず越えられます。
くり上がりはなぜ難しい?
9+2、8+5のような「答えが10をこえるたし算」をくり上がりのたし算といい、1年生の2学期ごろに学習します。それまでの「7+2」のような計算は、指や数え足しでもなんとかなります。しかしくり上がりでは、「10のまとまりを作る」という考え方の飛躍が必要になります。ここで初めて「算数がわからない」を経験する子が多いのです。
大切なのではっきり書きます。くり上がりのつまずきは、たし算の練習不足ではなく、その手前の「10の合成分解」の不足です。対策の順番を間違えないことが、遠回りしない唯一のコツです。
前提チェック:2つの力が即答できるか
| 力 | チェック問題 | 合格ライン |
|---|---|---|
| ①10の合成 | 「8はあといくつで10?」 | 2秒以内に「2!」 |
| ②数の分解 | 「5は2といくつ?」 | 2秒以内に「3!」 |
どちらかが遅ければ、さくらんぼ計算の練習はいったん置いて、こちらを遊びで鍛えます。
- 10づくりカード:「7!」と言ったら「3!」と返すスピード勝負
- おはじき隠し:5個のうち2個隠して「いくつ隠れた?」
- トランプ10さがし:合わせて10になるペアを取り合う(1〜9のカードで)
- お風呂で分解:「6は1と?」「2と?」「3と?」と湯船で1つの数を全部分解
1日3分×1〜2週間で即答レベルになります。ここさえできれば、くり上がりは半分終わったようなものです。
さくらんぼ計算のやり方(8+5)
手順:
①「8はあと2で10」——大きい方の数を見て、10まであといくつか考える
②5を2と3に分ける——分けた2つを、さくらんぼのように丸をかいて書く🍒
③8+2=10——10のまとまり完成!
④10+3=13——「10といくつ」だから、すぐ答えられる
声かけのポイントは、いきなり「5を2と3に分けて」と言わないこと。「8は、あといくつで10になる?」から始めると、なぜ2と3に分けるのかが子どもの中でつながります。
💡 なぜ10を作るの?と聞かれたら——「10のまとまりができると『10と3で13』ってすぐわかるから」。卵の10個パック、10円玉など、10のまとまりの便利さを実物で見せると納得感が違います。
練習は3ステップで進める
- ブロック・おはじきで:8個と5個を並べ、5個側から2個を移動して10のかたまりを作る——手で「くり上がり」を体験
- さくらんぼ図をかいて:ノートに🍒の図をかきながら解く——考え方を見える化
- 図なしで(暗算):頭の中でさくらんぼ——最終目標は「8+5」を見て2〜3秒で13
各ステップ、8〜9割正解できるようになったら次へ。焦って図なしに進むと崩れます。逆に、いつまでも図を書かせ続ける必要もありません。さくらんぼは補助輪——乗れるようになったら外すものです。
つまずき別・対処法
| つまずき | 原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 分ける数をまちがえる | 10の合成があいまい | 10づくり遊びに戻る |
| 答えが1ずれる | 数え足しで処理している | ブロックで10のまとまり体験から |
| 時間がかかりすぎる | 手順は正しいが自動化前 | 1日5問×毎日。量より頻度 |
| やる気をなくしている | 難しい問題をやりすぎ | 9+□だけに絞る(9はあと1で10、いちばん簡単) |
最後の「9+□に絞る」は特におすすめです。9+4、9+7…は「1だけもらって10」なので、さくらんぼの成功体験を作りやすい問題。9の段→8の段→7の段と、10を作りやすい順に進めると、無理なく全パターンに広がります。
くり上がりは全部で36問しかない
実は、くり上がりのたし算は全部で36問しかありません(9+2〜9+9の8問、8+3〜8+9の7問、7+4〜7+9の6問…と、答えが10をこえる組み合わせを数えると36通り)。「無限にあるように見える敵が、実は36人しかいない」と知るだけで、親子とも気が楽になります。
しかも、たし算は順番を入れかえても答えが同じ(3+9=9+3)なので、実質覚えるのは半分の18パターン。1日5問ずつなら1週間で全パターンに触れられます。ドリルでランダムに出题して、「どの問題が苦手か」をチェックしながらつぶしていきましょう。だいたいの子は「7+□」「6+□」(10まで遠い組)に苦手が残ります。
💡 学校の教科書も「9+□→8+□→7+□…」と、10を作りやすい順に進みます。家庭学習も同じ順番にすると、学校の授業が「もう知ってる!」になり、自信につながります。
どこまでできれば合格?(保護者のチェックリスト)
- 「8+5」をランダムに出しても2〜3秒で答えられる
- 「どうやって考えたの?」に「8に2をあげて10、あと3で13」と説明できる
- 9+□、8+□、7+□のどのパターンでも安定している
ここまで来たら、くり下がりのひき算(ひき算ガイド)へ進む準備完了です。くり下がりも「10のまとまり」を使う点は同じなので、くり上がりが固まっていればスムーズに入れます。
よくある質問
Q1. さくらんぼ計算って何?
10のまとまりを作るために、片方の数を2つに分けて書く方法です。8+5なら5を2と3に分けて、8+2=10、10+3=13。
Q2. さくらんぼができません。
前提の「10の合成」「数の分解」が即答できるかチェックを。遅ければ10づくり遊びが先です。
Q3. いつ習いますか?
1年生の2学期ごろ。冬休みまでに即答レベルにできると、2年生の筆算が楽になります。
Q4. さくらんぼを書くのを嫌がります。
頭の中で正確にできるなら書かなくてOK。学校で指定がある時期は合わせましょう。
Q5. 「5+8」のように小さい数が先に来ると解けなくなります。
「大きい方を10にする」と教えましょう。5+8なら8の方が10に近いので、5を2と3に分けて8+2=10、10+3=13。「たし算は順番を入れかえても答えが同じ」ことを、おはじきを左右入れかえて見せると納得できます。どちらを分けてもよいと気づけたら、理解はかなり深い状態です。
まとめ
くり上がりは、1年生にとって初めての大きな壁ですが、乗り越え方がはっきり確立された壁でもあります。「10づくり→さくらんぼ→36問の反復」の順番を守れば、必ず越えられます。ここで得た「壁は練習で越えられる」という経験こそ、6年間で一番の財産になります。
- くり上がりのつまずきの正体は「10の合成分解」の不足。まず遊びで即答化
- さくらんぼは「あといくつで10?」から。ブロック→図→暗算の3ステップ
- 9+□から始めると成功体験を作りやすい
- ゴールは2〜3秒の即答+自分の言葉で説明できること
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