➕ 「8+5」で手が止まる——くり上がりのたし算は、1年生の算数の大きな山場です。このページでは、その手前にある「10の分解」を図で目に見える形にし、さくらんぼ計算、くり上がり36問の全体像、筆算の手順まで順番にまとめました。例題と、よくある誤答例の直し方もあります。
たし算の学年別ステップ
| 学年 | 学ぶ内容 | 家庭での目標 |
|---|---|---|
| 1年生 前半 | 10までのたし算(あわせていくつ) | 3+4が指を使わずに出る |
| 1年生 後半 | くり上がりのたし算(8+5など) | さくらんぼ計算の手順を説明できる |
| 2年生 | 2けたの筆算(くり上がりあり) | 位をそろえ、手順どおりに書ける |
| 3年生 | 3けた・4けたの筆算、暗算 | 大きな数でも同じ手順で解ける |
各段階は前の段階の上に積み上がっています。3年生の筆算でつまずいている原因が、1けたのたし算に時間がかかることにある場合もあります。つまずいたら1つ前の段階に戻って確かめてみてください。
土台:「10の合成分解」を図で見る
くり上がりのたし算を支えるのが、10の合成分解(10は1と9、2と8、3と7…)です。下の図は「10のわく」に、青と橙の丸を入れて9通りを並べたものです。上から順に青が1つずつ増え、橙が1つずつ減っていきます。
このわくをノートに1枚かいておき、おはじきを並べて「青が7こなら、橙はいくつ?」と聞くのが、家庭で試しやすい遊び方です。慣れてきたら、図を見ずに答えられるかを確かめます。
| 確かめたい力 | 聞き方の例 | にじゅうまる。の目安 |
|---|---|---|
| 10の合成 | 「8はあといくつで10?」 | 考えこまずに「2」 |
| 数の分解 | 「5は2といくつ?」 | 考えこまずに「3」 |
- 10づくりカード:「7!」と言ったら「3!」と返す
- おはじき隠し:10個のうち何個か手で隠して「いくつ隠れてる?」
- トランプ10さがし:1〜9のカードで、合わせて10になるペアを取り合う
- お風呂で分解:「6は1と?」「2と?」「3と?」と、1つの数を全部分けてみる
どちらかに時間がかかるうちは、さくらんぼ計算の練習はいったん置いて、こちらを遊びで続けてみてください。にじゅうまる。では1日3分ほどを目安にしています。
くり上がりのたし算:さくらんぼ計算
8+5のように答えが10をこえるたし算は、10のまとまりを作るのが基本の考え方です。1年生の2学期ごろに学習します。
例:8+5の解き方(さくらんぼ計算)
①「8はあと2で10」——大きい方の数を見て、10まであといくつか考える
②5を2と3に分ける——さくらんぼのように丸をかいて書く
③8+2=10 → ④10+3=13
声かけでは、いきなり「5を2と3に分けて」と言わないのがポイントです。「8は、あといくつで10になる?」から始めると、なぜ2と3に分けるのかが子どもの中でつながります。「なぜ10を作るの?」と聞かれたら、卵の10個パックや10円玉を見せて「10のまとまりがあると『10と3で13』ってすぐわかるから」と伝えます。
練習は3ステップで
- ブロック・おはじきで:8個と5個を並べ、5個の側から2個を動かして10のかたまりを作る
- さくらんぼの図をかいて:ノートに図をかきながら解く
- 図なしで:頭の中でさくらんぼ。「8+5」を見て、少し考えれば13と言える
にじゅうまる。では、各ステップで8〜9割ほど正解できるようになったら次へ進むのを目安にしています。さくらんぼは自転車の補助輪のようなもので、乗れるようになったら外してかまいません(学校で書くよう指示がある時期は合わせます)。
9+□から始める
9+4、9+7…は「1だけもらって10」なので、さくらんぼの成功体験を作りやすい問題です。9+□→8+□→7+□と、10を作りやすい順に進めると、無理なく全パターンに広がります。教科書も同じように、10を作りやすいものから扱っています。
くり上がりのたし算は、全部で36問
1けたどうしのたし算を表にすると、答えが10をこえる(11以上になる)マスは36個です。9+2〜9+9の8問、8+3〜8+9の7問、7+4〜7+9の6問…と数えると、8+7+6+5+4+3+2+1=36になります。
「無限にあるように見えて、実は36問」と知るだけで、親子とも気が楽になります。しかも、たし算は順番を入れかえても答えが同じ(3+9=9+3)なので、表の右上と左下は同じ形です。1日6問ずつなら、6日で36問すべてに触れられます。ドリルでランダムに出題して、どのマスに時間がかかるかを確かめてみてください。「7+□」「6+□」は10まで遠いぶん、手順が長くなる組です。
筆算(2・3年生)
2年生からの筆算は、手順を固定することが中心になります。
- 位をそろえて書く——一の位は一の位の下に。マス目ノートを使う
- 一の位から計算する——左から計算しようとする場合は、ここを確認
- くり上がりの1を小さく書く——頭で覚えずに、書く
- 書いた1も足す——「1たす…」と声に出す
3けた・4けたになっても手順は同じです。2けたで手順が安定してから、けたを増やします。
暗算の工夫(3年生〜)
- キリのいい数を借りる:99+47 → 100+47−1=146
- 位ごとに足す:34+52 → 30+50=80、4+2=6、あわせて86
- 10のまとまりを先に:8+7+2 → 8+2=10を先に作って、10+7=17
「どの順番で足しても答えは同じ」(たし算のきまり)を使えると、計算の工夫が楽しくなります。
たし算の文章題:場面を絵にしてから式に
- あわせていくつ(合併):「赤い花3本と白い花4本、あわせて何本?」——2つを一緒にする
- ふえるといくつ(増加):「3人で遊んでいたら4人来た。みんなで何人?」——あとから増える
「あわせて」「ぜんぶで」という言葉だけで式を決めるのではなく、場面を絵や図にしてから式を立てる習慣を早めにつけておくと、2年生以降の文章題(文章題の解き方)で役に立ちます。
家庭でためす例題
答えは折りたたんであります。お子さんが解いたあとに開いて、考え方まで一緒に確かめてください。
- 「6は、あといくつで10?」
答えと考え方
4。10のわくに青を6こ並べると、空いているマスが4つ。
- 9+4
答えと考え方
13。9はあと1で10。4を1と3に分けて、9+1=10、10+3=13。
- 5+8
答えと考え方
13。大きい方の8を10にする。8はあと2で10なので、5を2と3に分けて、8+2=10、10+3=13。
- 7+6
答えと考え方
13。7はあと3で10。6を3と3に分けて、7+3=10、10+3=13。
- 47+38(筆算)
答えと考え方
85。一の位 7+8=15 → 5を書き、1を十の位の上に。十の位 1+4+3=8。
- 99+47(暗算)
答えと考え方
146。99を100とみて 100+47=147、借りた1を返して 147−1=146。
- 赤い花が6本、白い花が7本あります。あわせて何本?
答えと考え方
13本。式 6+7=13。7はあと3で10なので、6を3と3に分けて 7+3=10、10+3=13。
よくある誤答例と、家庭での直し方
何が起きたか:7から「7、8、9、10、11」と、最初の7も数えに入れてしまい、答えが1ずれています。指や数え足しで計算しているときに起きやすい誤りです。
家庭での直し方:数え足しをやめさせるより、10のわくで「7はあと3で10」を目で確かめる練習に戻ります。7+5なら、5を3と2に分けて 7+3=10、10+2=12。
何が起きたか:分ける数は合っていますが、どちらを8に足すかが逆になっています。「10を作るために分ける」という目的が抜けて、手順だけを覚えている状態です。
家庭での直し方:分ける前に「8は、あといくつで10?」と聞きます。答え(2)が出てから5を分けると、2を先に使う理由がつながります。
何が起きたか:一の位の 7+8=15 を、そのまま「15」と書いてしまっています。くり上がりを十の位に送る手順が抜けています。
家庭での直し方:一の位の答えのマスには数字を1つしか書かない、とルールを決めます。15なら5だけを書き、1は十の位の上に小さく書く。マス目ノートを使うと、はみ出しに気づきやすくなります。
何が起きたか:くり上がりの1を書かずに頭で覚えようとして、十の位で足し忘れています。
家庭での直し方:くり上がりの1は書く、書いた1から先に足す(「1たす4たす3」)と、声に出す手順にします。答えの見当(40+40で80くらい)を先に立てると、75の不自然さに自分で気づけます。
画用紙に2段×5列のマスをかくだけで、10のわくができます。おはじきやボタンを並べて「いま何こ?」「あといくつで10?」と聞くと、10の合成分解を目で確かめられます。
くり上がりのたし算に入ったら、同じわくを2枚並べます。8+5なら、1枚目に8こ、2枚目に5こ置き、2枚目から2こを1枚目に移すと、1枚目がちょうど10こになります。さくらんぼ計算でやっていることが、そのまま手の動きになります。
家庭でできる練習メニュー
| いまの段階 | メニュー(1日5分ほど) |
|---|---|
| 10までのたし算 | おはじきで「あわせていくつ」→ドリルで反復 |
| くり上がり前 | 10のわく遊び・10づくりカード |
| くり上がり練習中 | さくらんぼを書いて解く→慣れたら書かずに解く |
| 筆算練習中 | 1日3問ほど。手順を声に出しながら |
| 仕上げ | タイムを記録して、昨日の自分と比べる |
1年生のたし算、ここまでできれば次へ
- くり上がりの36問を、ランダムに出されても少し考えれば答えられる
- 「どうやって考えたの?」に「8に2をあげて10、あと3で13」と説明できる
- 9+□、8+□、7+□…のどの組でも安定している
ここまで来たら、くり下がりのひき算(ひき算の誤答パターン集)へ進む準備ができています。くり下がりも「10のまとまり」を使う点は同じです。
学年を選んだ状態で開きます。くり上がりを含む問題が毎回ちがう組み合わせで出るので、36問のどこに時間がかかるかを確かめるのに使えます。
1年生のドリルを開く →確認日: 2026年9月27日。学習指導要領では、第1学年で「1位数と1位数との加法及びその逆の減法の計算が確実にできること」が示されています。このページの「くり上がり36問」と、ひき算のページの「くり下がり」を合わせたものが、この「確実に」の中身だと考えると、家庭で練習する範囲がはっきりします。第2学年では2位数の加法とその筆算を扱います。10のわくの図と誤答例は、にじゅうまる。運営者による整理です。
まとめ
- たし算は「10までの計算→くり上がり→筆算→暗算」の積み上げ。つまずいたら1つ戻る
- 土台は10の合成分解。10のわくで目に見える形にしてから、図なしへ
- さくらんぼは「あといくつで10?」から。9+□から始めると成功体験を作りやすい
- くり上がりは全部で36問。表で見ると、終わりが見える
- 筆算はくり上がりの1を書く。答えの見当で、自分で誤りに気づける
よくある質問
Q1. くり上がりのたし算はどう教えればいいですか?
「10のまとまりを作る」さくらんぼ計算が基本です。8+5なら、「8はあといくつで10?」と聞いてから5を2と3に分け、8+2=10、10+3=13。その前に、10の合成分解(10は8と2など)を10のわくで確かめておくと進めやすくなります。
Q2. くり上がりのたし算は全部で何問ありますか?
1けたどうしのたし算で答えが11以上になるものは36問です。9+□が8問、8+□が7問…1+□は0問で、8+7+6+5+4+3+2+1=36。順番を入れかえても答えは同じなので、表にすると右上と左下が同じ形になります。
Q3. 「5+8」のように小さい数が先だと解けなくなります。
「大きい方を10にする」と伝える方法があります。5+8なら8の方が10に近いので、5を2と3に分けて8+2=10、10+3=13。おはじきを左右入れかえて、答えが変わらないことを見せると納得しやすくなります。
Q4. 筆算でくり上がりを忘れます。
くり上がりの1は頭で覚えずに、十の位の上に小さく書くと決めます。「書いた1から足す」を声に出す手順にすると、忘れにくくなります。
Q5. 指を使って計算するのはやめさせるべきですか?
無理にやめさせる必要はありません。指は具体物の代わりで、理解の途中段階として自然なものです。10のわく遊びを重ねると、指を使わずに済む場面が増えていきます。
学年を選んで、その場で採点しながら練習できます
1年生のたし算ドリルをやってみる →