📝 「計算問題は満点なのに、文章題になると手が止まる」——これは算数の相談でよく聞くお悩みです。原因の一つは、計算力ではなく、文章を「図」に変える段階にあります。このページでは、式を作る過程を図で見える化し、よく見られる誤答例と直し方までまとめました。
なぜ文章題でつまずくのか
文章題を解くには、実は4つの力が必要です。
- 読む力——問題文を正確に読み取る
- イメージする力——場面を頭に思いうかべる
- 式にする力——場面を算数の式に翻訳する
- 計算する力——式を正しく計算する
計算練習で鍛えられるのは④だけ。文章題が苦手な子は、①〜③のどこかでつまずいています。「どこで止まっているのか」を見極めることが、対策の第一歩です。問題文を音読させてみて、スラスラ読めないなら①、読めるのに「どういうこと?」となるなら②③が課題です。
文章題を解く4ステップ(型を作る)
STEP 1:声に出して読む——黙読より音読。読み飛ばしに気づきやすくなります
STEP 2:線を引く——わかっている数に○、聞かれていることに波線
STEP 3:図をかく——テープ図・線分図で場面を絵にする
STEP 4:式→計算→単位チェック——答えに単位をつけ、「聞かれたことに答えたか」確認
大切なのは、どんな問題でも毎回この順番で解くこと。「型」が身につくと、初めて見る問題でも手が動くようになります。逆に「いきなり式を書く」癖がついていると、出てきた数字を足したり引いたりしてみる「あてずっぽう」になりやすくなります。
頼りになる道具「テープ図・線分図」のかき方
文章題攻略のカギは図です。小学校で使う図の基本はテープ図(線分図)。「全体」と「部分」の関係を長方形や線で表します。
例題1(2年生レベル):あめが何こかありました。8こ食べたら、のこりは13こでした。はじめに何こありましたか。
図にすると、「はじめ=食べた+のこり」という関係が見えて、式は 8+13=21。答え:21こ。文章には「食べたら」「のこり」とあるので引き算だと考えてしまいやすいのですが、図をかけば足し算だとわかります。これが逆思考の問題で、図が特に役に立つ場面です。
図をかけるようになる練習法
- まねから始める:教科書の図を見ながら同じ図をかき写す
- 図だけ問題:「式も答えもいらないから、図だけかいて」と課題を図に限定する
- 図に数字を全部書く:わかっている数・聞かれている数(?)をすべて図に書き込む
学年別つまずきポイントと対策
| 学年 | よくあるつまずき | 対策 |
|---|---|---|
| 1年生 | 「あわせて」「のこりは」の場面がイメージできない | おはじきやブロックで実際に操作する |
| 2年生 | 逆思考(はじめの数を求める)で式が逆になる | テープ図を必ずかく習慣づけ |
| 3年生 | かけ算とわり算のどちらを使うか迷う | 「1つ分×いくつ分」を図で確認 |
| 4年生 | 2段階の問題(複合問題)で途中の数を見失う | 「まず何を求めるか」を書いてから解く |
| 5年生 | 割合(もとにする量×割合)で何が「もと」か混乱 | 線分図で「もと=1」を明示する |
| 6年生 | 比・比例の問題で、何と何が比例しているかを見失う | 表をかき、片方が2倍になるともう片方も2倍になるか確かめる |
学年が上がるほど「図がかけるかどうか」の差が広がります。5年生の割合や速さはつまずきやすいところですが、どちらも線分図で「もとにする量」を見える化すると整理しやすくなります。
かけ算か、わり算か:?の位置で決める(3年生)
3年生になると、同じ場面から、かけ算の問題もわり算の問題も作れるようになります。どちらを使うかは、「〜ずつ」「分ける」といった言葉ではなく、わからない数(?)が図のどこにあるかで決めます。
2段階の問題:まず何を求める?(4年生)
例題2(4年生レベル):1こ85円のパンを6こ買って、1000円札ではらいました。おつりは何円ですか。
解き方:STEP2で整理——わかっている数:85円、6こ、1000円。聞かれていること:おつり。
まず求めるもの:パンの代金 → 85×6=510円
次に:おつり → 1000−510=490円
2段階の問題は「まず○○を求める」と日本語で書いてから式を立てると、途中で迷いにくくなります。式だけ書き散らす子には「いま何を計算したの?」と聞いて、言葉にさせましょう。
5年生:割合の文章題も線分図で
例題3(5年生レベル):定価800円の品物を、定価の30%引きで買いました。代金は何円ですか。
解き方:線分図で「定価800円=1(もとにする量)」を1本の線にし、30%分に印をつける。
引かれる分:800×0.3=240円 → 代金:800−240=560円
(別解:残りは70%だから 800×0.7=560円)
割合の文章題で混乱する原因としてよくあるのが、「何を1(もと)にするか」を見失うことです。線分図の左端に「もと=800円=100%」と書いてしまえば、30%がその一部だと目で見てわかります。高学年になるほど、図をかく習慣が役に立つ場面が増えていきます。
家庭でためす例題(学年別)
答えは折りたたんであります。お子さんの学年の問題から、図をかいてから式を立ててみてください。
- 赤い花が5本、白い花が8本あります。あわせて何本?(1年)
答えと考え方
13本。2つを合わせるのでたし算。5+8=13。
- 何円か持っていて、150円使ったら、のこりは230円でした。はじめに何円持っていましたか。(2年)
答えと考え方
380円。テープ図で「はじめ=使った+のこり」。150+230=380。たしかめ 380−150=230。
- ゆうとさんは本を42ページ、妹は27ページ読みました。ちがいは何ページ?(2年)
答えと考え方
15ページ。ちがいを求めるのでひき算。42−27=15。
- 24このあめを、1人に4こずつ配ります。何人に配れますか。(3年)
答えと考え方
6人。4こずつのまとまりがいくつあるか(?はいくつ分)。24÷4=6。
- 1本120円のペンを3本と、80円の消しゴムを1こ買いました。代金はいくら?(4年)
答えと考え方
440円。まずペンの代金 120×3=360円、次に 360+80=440円。
- 定価1500円のシャツが20%引き。代金は?(5年)
答えと考え方
1200円。20%引き=残り80%。1500×0.8=1200。
- 時速40kmで2.5時間走ると、何km進みますか。(5年)
答えと考え方
100km。道のり=速さ×時間。40×2.5=100。
よくある誤答例と、家庭での直し方
文章題の誤答は、計算のまちがいより「式を作る過程」で起きていることがよくあります。どの段階で止まっているかを見てみてください。
何が起きたか:「食べたら」「のこり」という言葉につられて、ひき算を選んでいます。はじめの数(全体)を求める逆思考の問題です。
家庭での直し方:式の前にテープ図をかき、「?」を全体の位置に書きます。全体を求めるので 8+13=21。答えが出たら「21こから8こ食べると13こ?」と問題文に戻して確かめます。
何が起きたか:問題に出てきた数字を全部使って、とりあえず計算しています。「6こ」が「6円」として引かれています。
家庭での直し方:わかっている数に○をつけたあと、それぞれに単位(円・こ)を書き込みます。「6こ」は円から引けないことに気づけます。まずパンの代金 85×6=510円、次におつり 1000−510=490円。
何が起きたか:1段目の式(パンの代金)までは正しいのですが、聞かれている「おつり」まで進んでいません。
家庭での直し方:問題文の聞かれていることに波線を引き、答えを書く前に「波線のことに答えた?」と確かめる手順にします。テープ図で510円がどの部分かを指さすと、まだ途中だとわかります。
何が起きたか:「分ける」問題でかけ算を選んでいます。1人分が、もとの24こより多くなっています。
家庭での直し方:図の「?」が1つ分の位置にあるか確かめます(上の図のB)。分けると1人分はもとより少なくなる、と答えの見当を立てると、96こはおかしいと気づけます。正しくは 24÷4=6こ。
キーワード頼みは卒業しよう
「あわせて=たし算」「ちがいは=ひき算」のようなキーワード解法は、低学年の入り口では有効ですが、頼りすぎると例題1のような逆思考問題で崩れます。言葉は手がかり、決め手は図。この順番を親子で合言葉にしてください。
💡 声かけ例:「式の前に、絵にするとどうなる?」「その図のどこが『?』(聞かれていること)?」——答えを教えるのではなく、図に誘導する声かけです。
家庭でできる文章題トレーニング
- お話づくり:「8+13になるお話を作って」と逆方向の練習(式→場面)をする
- 買い物実況:「300円持ってて120円のジュース買ったら、あといくら使える?」
- 問題文の音読:1日1問、読むだけでもOK。読解の土台づくり
- 1つ下の学年から:計算がやさしい問題で「図をかく」練習に集中する
「4人で分けると1人何個?」に慣れてきたら、条件をひとつ足してみてください。「パパは1個でいいから、残りを分けると1人何個?」——これだけで、1回の計算では終わらない問題になります。
10個で試すと違いがはっきりします。そのまま4人で分けると1人2個であまり2個。パパの1個を先に取ると10−1=9、9÷3=3で、3人にちょうど3個ずつ。「先に引いてから、わる」という順番が必要だと、答えの形で分かります。
文章題が苦手な子の多くは、この「2回計算する」で止まります。紙の上で初めて出会うより、食卓で先に経験しておくほうが入りやすくなります。
幼稚園のころから、会話の中で計算を出すようにしていました。「4人家族で分けると1人どれだけ?」に慣れてきたら、「パパは1個でいいから、残りを分けると1人何個?」と、ひと手間増やした形にしていました。
文章題の取り組みチェック表
| チェック項目 | できる | 少し迷う | まだ難しい |
|---|---|---|---|
| 問題文を最後まで音読できる | |||
| 聞かれていることに線を引いている | |||
| 数字に○をつけている | |||
| テープ図・線分図をかいてから式を立てている | |||
| 答えに単位を書いている | |||
| 「食べた」でも たし算になる問題があると分かる |
「まだ難しい」が付いた行が、いま取り組む場所です。上から順にひとつずつで十分です。
ドリルには学年ごとの文章題が含まれています。図をかく手間を惜しまずに1問ずつ——4ステップの型が身についているかは、解く速さではなく図の有無で分かります。
学年を選んでドリルをやってみる →確認日: 2026年9月27日。学習指導要領では、1年生から「具体物や図などを用いて」加法・減法の場面を表したり考えたりすることが示され、学年が上がるにつれてテープ図・線分図・数直線などを用いて数量の関係を表す学習が続きます。家庭では、お子さんの学年で教科書が使っている図(1・2年のテープ図、高学年の線分図・数直線)にそろえて式を作る練習をする、という形で使えます。4ステップの型・図解・誤答例は、にじゅうまる。運営者による整理です。
よくある質問
Q1. 計算はできるのに文章題が解けません。
つまずきは計算以外の段階(読む・イメージする・式にする)にあります。音読→線引き→図→式の4ステップを型として身につけさせましょう。
Q2. 図をかくのを嫌がります。
「図をかいたら解けた」という成功体験が、まだ少ないのかもしれません。やさしい問題で図だけかく練習から始め、図の威力を実感させてください。
Q3. キーワードで式を決めるのはダメ?
手がかりにはなりますが、逆思考の問題で失敗します。「言葉は手がかり、決め手は図」です。
Q4. 何から練習を始めればいい?
1つ下の学年の文章題を図をかいて解くことから。1日1問で十分です。
Q5. 答えは合っているのに式が違うと言われました。
たとえば「3人に4こずつ」を4×3と書くようなケースです。答えは同じでも「1つ分×いくつ分」の意味を確認するのが学校のねらいなので、図をかいて「1つ分はどっち?」を確かめる習慣をつけると、式の意味も安定します。
まとめ
- 文章題の力=読む×イメージ×式化×計算。つまずきの場所を見極める
- 解き方は「音読→線引き→図→式・単位チェック」の4ステップで型にする
- テープ図・線分図がいちばん頼りになる道具。逆思考問題は図があると安定しやすい
- キーワード解法は卒業。「言葉は手がかり、決め手は図」
学年を選んで、文章題を含む問題をその場で採点しながら練習できます
学年を選んでドリルをやってみる →