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算数が苦手な子への教え方

最終更新: 2026年7月13日|執筆: にじゅうまるドリル編集部

👨‍👩‍👧 「教えているのに伝わらない」「最後はケンカになる」——家庭学習の一番の悩みは、実は算数そのものではなく教え方です。このページでは、苦手な子に効く教え方の原則と、今日から使える声かけを紹介します。

原則①:教える前に「どこまで戻るか」を見つける

算数は積み上げ教科です。今日の宿題がわからない原因は、今日の内容ではなく数週間前・数学年前の穴にあることがほとんど。だから最初にやるべきは説明ではなく診断です。

今つまずいている単元さかのぼり先
わり算九九(特に6〜8の段)
筆算全般1桁のたし算・ひき算の即答
約分・通分倍数・約数 → 九九
割合小数のかけ算・わり算 →「倍」の意味
文章題図(テープ図・線分図)をかく練習

「1学年下のドリルをやらせるなんてかわいそう」と思う必要はありません。スラスラ解ける場所から始めるのは、治療であり貯金です。「復習は実力の貯金だよ」と前向きな言葉で誘いましょう。

原則②:「具体物 → 図 → 式」の3段階で教える

算数の理解には順序があります。言葉と式の説明で伝わらないときは、段階を下げましょう。

  1. 具体物:おはじき・ブロック・お金・お菓子で実際に動かす
  2. 図(半具体物):○を並べた絵、テープ図、線分図
  3. 式:数字と記号

たとえば「12÷3」がわからない子に式の説明を繰り返すより、あめ12こを3人に配らせる方が一度で伝わります。「何度言ってもわからない」は、言い方の問題ではなく段階の問題。1段下がれば通じます。逆に、具体物でできたら図で、図でできたら式で——と1段ずつ上がっていけば、確実に抽象化できます。

原則③:ヒントは3段階で小出しにする

すぐ答えや解き方を言ってしまうと、子どもは「待てば教えてもらえる」と学習します。ヒントはレベル分けして、小さい方から出しましょう。

レベルヒントの例
Lv1(方向づけ)「問題文をもう1回声に出して読んでみて」
Lv2(道具の提案)「図にするとどうなりそう?」「前にやった似た問題なかった?」
Lv3(最初の一歩)「まず、わかっている数に○をつけてみよう」

Lv1で解けたら「自分で解けた」という最高の成功体験になります。教えることのゴールは、教えなくても解ける状態。もどかしくても、答えまでの距離を子どもに歩かせてあげてください。

言ってはいけないNGワードと言いかえ

❌「なんでこれがわからないの?」→ ⭕「どこまではわかってる?」

❌「さっき教えたでしょ」→ ⭕「もう1回、違うやり方で見てみよう」

❌「そうじゃない!」→ ⭕「お、おしい。ここまでは合ってるよ」

❌「お兄ちゃんはできたのに」→ ⭕「昨日の自分より進んでるね」

❌「早くしなさい」→ ⭕「ゆっくりでいいから、確実にいこう」

共通するのは、比較と否定をやめて、現在地の確認と部分肯定に変えること。算数の苦手意識は「算数がわからない」より「算数の時間が嫌い」から始まります。感情の安全が確保されて初めて、頭は算数に向かえるのです。

「わからない」の解像度を上げる質問

子どもの「わからない」は情報がゼロです。次の質問で、どこでつまずいているかを特定しましょう。

切り分けができれば、対策はお悩み別ガイドの該当ページでピンポイントに打てます。

教える時間は「1回15分まで」と決める

家庭で教える時間は、短いほどうまくいきます。理由は単純で、15分を超えると教える側の忍耐が切れ、子どもの集中も切れるから。ケンカになるのはたいてい20分を過ぎたあたりです。

また、きょうだいがいる家庭では比較を徹底的に避けることも大切です。「お姉ちゃんは九九すぐ覚えたよ」の一言は、本人のやる気を数週間分削ります。比べる相手は常に「昨日のその子」だけです。

うまくいく声かけ 実例集

場面声かけ
始める前「今日は1問だけやってみよう」(ハードルを極限まで下げる)
解いている途中「お、いい姿勢」「字がていねいだね」(内容以外も褒める)
正解したとき「どうやって解いたの?」(説明させる=最高の復習)
間違えたとき「ここまでは合ってる。おしい!」(部分肯定→どこからか一緒に探す)
終わったあと「昨日より1分速かったね」(過去の本人と比較)

特に効果が大きいのは「どうやって解いたの?」です。人に説明すると理解が整理され、定着率が大きく上がります。親は答えを知らないふりをして、子ども先生に教えてもらいましょう。

教えない時間をつくる:環境と習慣

実は、家庭でできる最大の学力サポートは「教えること」ではなく「毎日短時間、机に向かう仕組み」です。

習慣づくりの詳細は家庭学習を続けるコツで解説しています。

よくある質問

Q1. 何から教えればいい?

教える前に診断を。1学期前・1学年前に戻り、スラスラ解ける地点から再スタートしましょう。

Q2. すぐケンカになります。

「教える係」をやめて「質問する係・褒める係」へ。丸つけは自動採点に任せましょう。

Q3. 何度教えても同じ間違いをします。

説明の回数ではなく段階を変えましょう。具体物→図→式の順にやり直すと通じます。

Q4. 親自身が算数が苦手です。

問題ありません。解説はドリルに任せ、親は環境・習慣・応援の担当に。「一緒に考えよう」は最高の声かけです。

Q5. 学校と家庭で教え方(解き方)が違って混乱しています。

学習中の単元は学校のやり方に合わせるのが原則です。さくらんぼ計算や筆算の書き方は教科書・ノートで確認してから教えましょう。別の解き方は「そういうやり方もあるんだね」と紹介にとどめ、テスト期間が過ぎてから広げると混乱しません。

まとめ

教え方の技術は一朝一夕には身につきませんが、「診断→段階を下げる→質問で導く→部分肯定」の流れさえ覚えておけば、今日から家庭学習の空気は変わります。完璧な先生になる必要はありません。子どもの一番の応援団でいることが、何よりのサポートです。

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